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zoom RSS 「 クラッシュ 」

<<   作成日時 : 2006/06/07 23:02   >>

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keshigom
監督 : ポール・ハギス 
主演 : サンドラ・ブロック / ドン・チードル / マット・ディロン
      
公式HP : http://www.crash-movie.jp/

 各国の映画賞で22部門を受賞した作品です。

 この作品の特執すべきは、あの 「 ミリオンダラー・ベイビー 」の脚本家・ポール・ハギスの原案から共同製作及び脚本も手がけた監督デビュー作である点だと思います。

 キャストを観るとドン・チードルやサンドラ・ブロック他なかなかの演技派揃いです。でもサンドラ演じる白人女性ジーンは彼女でなくても誰でもよかったような気がします。特に演技が要求される役どころではなかったように思います。裕福な黒人夫婦の妻サンディ・ニュートンはどこかで観たことがあるなっと思ったら、「M:I 2」や「リディック」に出演していましたね〜。

 年明け早々、続々と社会派ドラマ、ドキュメンタリーの映画の公開が続いて来ますが、この作品は特にアメリカの闇、今なお根強く存在する人種差別の問題を人々の潜在意識に潜む精神面から鋭くえぐり出す、繊細かつ鋭い視点から微妙に織りなされた人間模様を描いて世に問う作品です。

 冬のクリスマス間近かなロサンゼルス24時、ハイウエイで起った一件の中国人女性が起こした追突事故から始まる36時間。様々な理不尽さに対する怒りや悲しみ、愛や偏見や憎しみ、そして焦燥感・・・・
黒人やアメリカ在住中国人、9・11から根強く残るアラブ系民族への恨みと偏見、台詞の一言一言がそれぞれの置かれた立場や心理を切々と訴えかけてくる気がしてなりません。

 「黒人、黒人って、白人は自分達の事を白人って呼ぶか!?」流行の歌の歌詞にさえも無意識の差別とそれに敏感に反応する黒人の青年の気持ちもわらかなくはない、白人や同じ黒人からさえも差別されるまなざしを敏感に感じ、それにたいする反逆心から犯罪を繰り返す。だれしも自ら罪を犯すことを望んでいなくても、黒人に強奪にあった白人は黒人に必要以上にナーバスになり遠ざけ、すべての黒人に差別視を向ける、その蔑視に反抗するように犯罪を犯す黒人の若者達、まさに悪循環でしかない・・・そう思います。

 だったらどうしたら良いのだろう・・・簡単に答えが出る問題ではないのです・・・・

 日本は大陸ではなく、四方を海に囲まれた孤島であるため少し前までは、比較的こういった人種が多く混在する生活は少なかったように思いますが、大使館もあり、最近ではいろいろな人種の方が働いていらっしゃり、また永住されているケースもあったり、普通に日本語以外の言葉も耳にする機会もふえましたが、それでも大多数は日本人ですので、あまり差別的意識を持つほどの隔たりはないように思います。ただ、さすがに9・11の直後ごろは某組織が日本を含めて世界中を標的としていたことから、アラブ系の顔立ちをされている方をみかけると、なんとなく落ち着かない時期もありました。当のテロ被害を受けたアメリカとしては、なおさらそれはあるのかもしれないし、アメリカの中ではそれは忘れることの出来ない出来事でもあるのも確かだと思います。

   人間の本能には、善と悪のはっきりした区別がつけられない説明しがたい感情が常に表裏一体で存在する・・・っと感じます。

crash3.jpg 

  私が一番それと感じたのは、ライアン・フリップ演じる若手刑事トミーの心理描写です。一見一番そういった差別の問題や事件に対して正義感溢れ正しい行いをしようとする若者を通して、実は潜在意識の中では、偏見からくる恐れや人種に対する差別意識が誰にでも潜んでいるものだ・・・と言うことが思い知らされ、そして、表向きは明らかに差別意識が強い人種差別主義者で職歴17年のベテラン刑事であるマット・ディロン演じるその上司ライアンを通して、人間の本能からそうせずにはいられない緊急時のとっさの正義の存在をも証明して見せてくれました。

 私がこの映画を観て一番心が痛かったのは、鍵士の黒人男性ダニエルと娘の家族のエピソードです。銃社会にあって、銃声が聞こえると怖くて眠れない娘ララに、絶対弾に当らない「透明のマント」を娘に着せてあげようと、安心させるためだけの思いつきでしてあげた嘘が、後でとんでもない事に・・・

 crash4.jpg


 父親の言葉をを心から信じ、迷わず父を守ってあげようと走って行く女の子の姿を見せられただけで、心にぐさりと重たい物が刺さりました・・・・
 その幼い少女に拳銃を発射してしまったペルシャ人の男は、ハッとし、言葉の通じない行き違いによる誤解と被害妄想による逆恨みをしていた自分を救ってくれた天使だと感じ、こころから穏やかな表情になって涙する・・

 ラストまでなにかの結論が与えられるわけではない、依然として人種差別から起因するさまざまなトラブルの中で、それぞれが悩み苦しみながらも、人を愛し、なにかをつかみながら、そしてなにか大事な物を無くしながも、生きている・・・・・。

 そのどうしようもない現実に直面するそれぞれの生き方に思いを馳せるために穏やかにいざなってくれる背景に流れる音楽の選曲が素敵です。

 この映画をご覧になって、ひとそれぞれ感じる視点は違うと思います。いろいろなことを考えさせられる問題提起された作品になっています。

 

 

 

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〜おしまい〜


      


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